仕入れ・小売向け

上代・下代とは — 読み方と掛け率・仕入れ価格の基本

読了目安 約10分
パン売り場の棚に商品ごとの値札が並ぶ店内。価格表示を確認しながら商品を選ぶ場面

写真: Markus Winkler(Pexels)

上代(じょうだい)とは、商品を消費者にいくらで売る想定かを示した価格です。下代(げだい)とは、小売店などの事業者が仕入れるときに支払う価格を指します。上代に対する下代の割合が掛け率で、上代1,000円の商品を6掛けで仕入れれば下代は600円になります。

仕入れ先の価格表やカタログを開くと、「上代」「下代」「掛け率」という言葉が並んでいます。日常の買い物では出てこない言葉なので、最初は何を見ればよいのか分かりにくいものです。

この記事では、上代と下代の意味を、定価・希望小売価格・卸価格・原価といった似た言葉との違いも含めて整理します。そのうえで掛け率の計算、税抜と税込の確認、価格表で必ず見るべき項目までを、仕入れる側の目線でまとめます。用語を覚えることではなく、価格表を渡されたときに自分で利益が残るかを判断できる状態を目指しています。

上代とは — 消費者向けの想定販売価格

上代とは、その商品を消費者にいくらで販売する想定かを示した価格です。読み方は「じょうだい」です。メーカーやブランドが設定し、卸取引の価格表・カタログ・見積書に記載されます。

小売店にとって上代は2つの意味を持ちます。店頭やオンラインでいくらで売るかを考えるときの目安であり、同時に仕入れ価格を計算するときの基準です。掛け率は上代に対する割合として示されるため、上代が分からないと仕入れ価格も決まりません。

似た言葉との違いを整理します。

言葉 意味 小売店を拘束するか
上代(じょうだい) 卸取引の書類で使われる、消費者向けの想定販売価格 拘束しない(目安)
希望小売価格 メーカーが希望する販売価格。実務上は上代とほぼ同じ意味で使われる 拘束しない(目安)
定価 その価格で販売すると定められた価格 該当する商品では拘束する
販売価格 実際に消費者へ販売する価格。小売店が決める
単価 1点あたりの価格。上代・下代のどちらにも使われる言い方

上代と定価の違い は、拘束力の有無です。定価は「その価格で売る」と定められた価格を指します。ただし、書籍・雑誌・新聞・音楽用CDなど再販売価格の維持が認められている商品を除き、メーカーが小売店の販売価格を拘束することは原則として認められていません。そのため多くの商品では、上代や希望小売価格は目安として示され、実際にいくらで売るかは小売店が決めます。

上代と販売価格の違い も同じ理由から生まれます。上代どおりに売ることも、値引きして売ることもできます。上代はあくまで「想定」であり、実際の販売価格とは別の数字だと考えてください。

単価 は1点あたりの価格を指す一般的な言葉で、上代の単価という意味でも、下代の単価という意味でも使われます。見積書に単価とだけ書かれている場合は、どちらを指しているのかを確認してください。

下代とは — 事業者が仕入れるときに支払う価格

下代とは、小売店などの事業者が商品を仕入れるときに支払う価格です。読み方は「げだい」で、「したい」と読む場合もあります。卸価格・仕入れ価格と呼ばれるものと、実務上は同じ価格を指します。

呼び方が複数あるのは、見ている立場が違うためです。

言葉 誰の立場から見た呼び方か 補足
下代 取引書類の上での呼び方 価格表・見積書・発注書に記載される
卸価格・卸値 販売する側(メーカー・ブランド)から見た呼び方 決め方は卸価格と掛け率の決め方で解説しています
仕入れ価格 仕入れる側(小売店・EC 事業者)から見た呼び方 送料などを含めた金額を指す場合がある
原価 販売した商品にかかった費用 仕入れた商品の原価は下代が基本になる

下代と原価の違い は、含まれる範囲です。仕入れた商品を販売する場合、その商品の原価は下代が土台になりますが、社内で利益を管理するときは下代に送料や輸送費を加えた金額を原価として扱うのが一般的です。自社で製造している場合は、材料費や製造にかかった費用が原価にあたり、下代という言葉自体を使いません。

同じ理由で、仕入価格と卸価格の違い も呼ぶ立場の違いにすぎません。数字を比べるときは、送料をどこまで含めた金額なのかをそろえてください。

上代・下代と掛け率の関係

掛け率とは、上代に対する下代の割合です。計算式は次の2つだけです。

「6掛け」「8掛け」という言い方は、この掛け率を10分の1の単位で読んだものです。6掛けなら60%、8掛けなら80%を指します。「掛け率40パーセント」という言い方も同じ意味で、上代の40%、つまり4掛けにあたります。

上代1,000円(税抜)の商品を例に、掛け率ごとの数字を並べます。金額はすべて架空の計算例です。

掛け率 読み方 下代 上代どおりに販売した場合の粗利
40% 4掛け 400円 600円
50% 5掛け 500円 500円
60% 6掛け 600円 400円
70% 7掛け 700円 300円
80% 8掛け 800円 200円

数字が小さいほど仕入れ価格は安くなり、仕入れる側の粗利は大きくなります。ただし、粗利がそのまま手元に残るわけではありません。ここから送料、保管費、決済にかかる費用、販売の手間を差し引いた残りが実際の利益です。掛け率だけで有利不利を判断せず、送料と最低注文数量まで含めて計算する のが基本です。

掛け率は商品分野や取引条件によって幅があり、一つの数字に決まっているものではありません。発注量、支払い条件、送料をどちらが負担するか、返品や在庫リスクをどちらが持つかによって動きます。卸す側がどういう考え方で価格を組み立てているかは卸価格と掛け率の決め方にまとめています。相手側の計算を知っておくと、条件の相談がしやすくなります。

上代は税抜か税込か — 価格表を受け取ったら確認する

卸取引の価格表では、上代・下代とも税抜(本体価格)で記載されることが多くあります。ただし決まった書き方があるわけではなく、上代を税込で記載している価格表もあります。

一方、消費者向けの価格表示は税込の総額表示が原則です。そのため「価格表の上代は税抜、店頭に出すときは税込」というように、同じ商品でも場面によって表記が変わります。

実務では次の3点を確認してください。

  1. 価格表の上代・下代が税抜か税込か — 見積書や取引条件書に明記されていなければ、仕入れ先に確認します
  2. 掛け率の計算をそろえる — 上代と下代のどちらも税抜で計算します。片方が税込のまま計算すると、掛け率が実際とずれます
  3. 請求金額の消費税の扱い — 商品ごとに軽減税率の対象になるかどうかで、請求書上の金額が変わります

税抜と税込を取り違えたまま掛け率を計算すると、想定していた粗利が出ません。数字が合わないと感じたときは、まずここを疑ってください。

仕入れる側が価格表で確認する項目

上代と下代が分かっても、それだけでは仕入れの判断はできません。価格表や取引条件を受け取ったときに確認する項目を整理します。

確認項目 何を見るか
上代 想定されている販売価格。自店の価格帯と合うか
下代・掛け率 仕入れ価格と、上代に対する割合
税抜か税込か 上代・下代それぞれの表記
最低注文数量・最低注文金額 1回の発注で満たす必要がある条件
入数 1ケース・1セットあたりの個数。ばら売りができるか
送料 誰が負担するか、無料になる基準があるか
支払い条件 前払いか後払いか、締め日と支払期日
返品・交換の条件 不良や数量違いがあったときの連絡期限と対応

見落とされやすいのは、最低注文数量と送料です。掛け率が低くても、1回の発注金額が大きくなりすぎて在庫が動かなければ資金は寝てしまいます。逆に掛け率が高めでも、少量から送料無料で仕入れられるなら、実際の利益は上回ることがあります。

仕入れ先を複数比較するときの見方は仕入れサイトの比較、仕入れ全体の流れは小売店・EC の仕入れ完全ガイドで扱っています。後払いの取引で仕入れ先がどのように与信や回収を考えているかは、卸す側向けの記事掛け売りの未回収リスクを抑えるにはで整理しています。

上代・下代・掛け率は業種によって使われ方が変わる

上代・下代・掛け率という言葉は、卸取引の全般で使われますが、重みの置き方は商品分野によって違います。

分野が違えば、同じ掛け率でも意味が変わります。取り扱う商品の性質と、自店の回転の速さに照らして判断してください。個人事業主として仕入れを始める場合の進め方は個人事業主の卸仕入れ、卸売という取引そのものの仕組みは卸売とはで解説しています。

orosy のバイヤーポータルでできること

orosy のバイヤーポータルは、複数の仕入れ先・約20万点の商品を、1つの画面と1つのカートから検索し、発注から請求書までを完結できるサービスです。商品ごとの販売単位、配送グループごとの最低注文金額や送料の条件は画面上で確認でき、審査の承認後は卸価格つきのカタログが開くため、価格表を取り寄せて比べる手間がかかりません。仕入れ先ごとの個別の交渉や口座開設は orosy が引き受けるので、仕入れ先が違う商品でもカートは1つにまとまります。

登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。初期費用も月額もなく、クレジットカードの登録なしで始められます。事業者向けのサービスのため審査制ですが、審査を待つ間もテストモードで検索から発注までの流れを試せます(取引先に通知されず、発送も課金もされません)。登録には、事業者サイトの URL の入力が必要です。

仕入れ先が増えるほど、ログイン先・カート・請求書・支払期日が分かれて管理の負担が積み上がります。その整理の考え方は仕入れ先の一元管理にまとめています。

よくある質問

上代とはどういう意味ですか。読み方も教えてください。

上代とは、その商品を消費者にいくらで売る想定かを示した価格です。読み方は「じょうだい」で、卸取引の価格表やカタログに記載されます。小売店にとっては販売価格を決めるときの目安であり、仕入れ価格を計算するときの基準になる数字です。

上代と下代の違いは何ですか。

見ている立場が違います。上代(じょうだい)は消費者向けの想定販売価格、下代(げだい)は小売店などの事業者が仕入れるときに支払う価格です。同じ商品に2つの価格があるのではなく、消費者に売る側の価格と、仕入れる側が払う価格を並べて示したものと考えると整理しやすくなります。

上代と定価・希望小売価格は何が違いますか。

拘束力の有無が違います。定価は、その価格で販売すると定められた価格です。希望小売価格は、メーカーが希望する販売価格の目安で、小売店を拘束しません。上代は卸取引の書類で使われる呼び方で、実務上は希望小売価格とほぼ同じ意味で使われます。書籍など再販売価格の維持が認められている一部の商品を除き、小売店は自分で販売価格を決められます。

8掛けで売るとはどういう意味ですか。

上代の80%の価格で取引するという意味です。上代1,000円の商品を8掛けで仕入れるなら、下代は800円になります。同じ言い方で6掛けは60%、7掛けは70%を指します。「掛け率40パーセント」という言い方も同じ考え方で、上代の40%、つまり4掛けを意味します。

掛け率はどれくらいが一般的ですか。

商品分野や取引条件によって幅があり、一つの数字に決まっているものではありません。発注量、支払い条件、送料をどちらが負担するか、返品や在庫リスクの持ち方によって動きます。掛け率だけを比べるのではなく、送料と最低注文数量まで含めて手元にいくら残るかを計算するのが実務的です。

上代は税込ですか、税抜ですか。

卸取引の価格表では税抜(本体価格)で記載されることが多くありますが、決まった書き方があるわけではありません。上代が税込で書かれている価格表もあるため、見積書や価格表を受け取ったら税抜か税込かを必ず確認します。掛け率の計算は、上代と下代のどちらも税抜でそろえて行うのが基本です。

仕入価格と卸価格の違いは何ですか。

ほとんどの場面で同じ価格を指しますが、呼ぶ立場が違います。卸価格は売る側から見た呼び方、仕入価格は買う側から見た呼び方で、書類の上では下代として記載されます。ただし社内で原価を管理するときは、下代に送料や輸送費を加えた金額を仕入価格と呼ぶ場合もあるため、どこまでを含めた数字なのかを確認して使います。

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