仕入れ・小売向け

カフェの仕入れガイド — 店内提供と物販、仕入れ先の種類と選び方

読了目安 約12分
コーヒー豆の袋を棚と樽に並べて販売する、小さなカフェの物販コーナーと木製カウンター

写真: Nam Phong Bùi(Pexels)

カフェの仕入れは、店内で提供する飲み物・お菓子の材料と、レジ横や棚で売る物販商品の2つに分けて考えると整理しやすくなります。材料は業務用の食材を扱う業者やメーカーとの直接取引、物販商品は複数のブランドを比べられる卸・仕入れサイトが主な入り口です。紙コップやテイクアウト容器などの消耗資材は、包装資材の専門業者という別の系統になります。仕入れ先は種類ごとに条件が違うため、一括で揃えようとせず、扱うものごとに分けて選ぶのが現実的です。

カフェを開くとき、あるいは開いてから物販を足すときに最初につまずくのが、「何をどこから仕入れるのか」が種類ごとにばらばらだという点です。コーヒー豆の仕入れ先、焼き菓子の仕入れ先、マグカップの仕入れ先、紙コップの仕入れ先は、それぞれ別の系統にあります。

この記事では、カフェの仕入れを店内提供用と物販用に切り分けたうえで、仕入れ先の種類と向き不向き、物販の品ぞろえの考え方、発注単位と最低注文金額の読み方、原価率と販売価格の決め方、開業前に確認しておく項目までを順にまとめます。想定しているのは、カフェ・喫茶店・小さな飲食店を営んでいる方と、開業の準備を進めている方です。

カフェの仕入れは「店内提供用」と「物販用」の2種類に分かれる

同じ「カフェの仕入れ」でも、店内で調理・提供するための材料と、棚に並べて売る商品とでは、探す先も発注の頻度も変わります。まずこの2つを分けておくと、条件の合わない仕入れ先を探し続けずに済みます。

店内提供用 物販用
品目の例 コーヒー豆、茶葉、牛乳、シロップ、製菓材料、冷凍のパンや菓子 袋入りのコーヒー豆、ドリップバッグ、茶葉、焼き菓子、マグカップ、雑貨
主な仕入れ先の型 業務用食材の専門業者、メーカー・焙煎所との直接取引、地元の生産者 卸・仕入れサイト、メーカー・作り手との直接取引、展示会
発注の頻度 高い。週単位・数日単位で補充する品目が多い 売れ行きに応じて補充。月単位になることも多い
ロットの考え方 使い切る量を継続して発注する 少量・多品種で棚を組む
判断の基準 単価、安定供給、納品の速さ ブランドの世界観、他店と被らないか、粗利

このほかに、紙コップ、カップの蓋、テイクアウト容器、ペーパーナプキン、袋といった消耗資材があります。これらは飲み物の材料でも売り物でもなく、包装資材を専門に扱う業者から仕入れるのが一般的です。「1か所ですべて揃える」ことを前提にせず、材料・物販商品・消耗資材の3系統に分けて仕入れ先を確保してください。

物販として売る食品の選び方そのものは食品の仕入れガイドで詳しく扱っています。この記事はカフェの店頭という前提に絞って進めます。

カフェの仕入れ先の種類と、向き不向き

仕入れ先には型があり、それぞれ得意な範囲が違います。1つの型ですべてを賄おうとすると、条件が合わない部分が必ず出ます。

仕入れ先の種類 得意な範囲 向いている場面 注意する点
業務用食材の専門業者 店内提供の材料全般。牛乳や製菓材料など消費量の多い品目 開店後、使用量が安定してきたとき 品目ごとの発注単位が大きい。物販向けの商品は少ない
メーカー・焙煎所との直接取引 主力のコーヒー豆、茶葉、看板になる商品 味と背景を店の売りにしたいとき 1社ごとに口座開設と支払条件の取り決めが必要
卸・仕入れサイト 物販商品、雑貨、器。複数ブランドの比較 品ぞろえを試しながら組みたいとき 事業者確認(審査)がある。商品ごとに販売単位が決まっている
地元の生産者・作り手 焼き菓子、ジャム、地域の特産品 他店と被らない棚を作りたいとき 供給量に限りがある。継続の可否を先に確認する
スーパー・業務用の量販店 開店直後の少量調達、急な不足の補填 使用量が読めない立ち上げ期 事業者向けの価格ではないため、常用すると原価が上がる
包装資材の専門業者 紙コップ、蓋、テイクアウト容器、袋 使用量が見えてきた段階でまとめ買いに切り替える 材料や物販商品とは仕入れ先が分かれる

立ち上げ期に量販店で少量ずつ買うのは、使用量が読めないうちは合理的な選び方です。ただし事業者向けの価格ではないため、そのまま続けると原価率が下がりません。1か月ほど営業して使用量が見えてきた品目から、順に事業者向けの仕入れ先へ切り替えていきます。

個人事業主として開業した場合でも、事業者であることの確認が取れれば卸価格で取引できる仕入れ先は多くあります。個人での卸取引の始め方は個人事業主の卸仕入れにまとめています。

カフェの物販 — 品ぞろえの組み方

物販は、店内で出しているものと関係のある商品から始めると、説明の手間が少なく在庫も回ります。反対に、店の中身と関係のない商品を並べても、お客様が手に取る理由が生まれません。

始めやすい順に整理すると、次のようになります。

段階 商品の例 始めやすい理由 注意する点
1 店で使っているコーヒー豆・茶葉の袋売り、ドリップバッグ その場で味を確かめてから買える。追加の仕入れ先が要らない場合もある 開封後の風味が落ちる前に売り切れる量に抑える
2 個包装の焼き菓子、日持ちする菓子 手土産として買われやすく、単価を足しやすい 賞味期限の管理が必要。夏場の温度帯に注意
3 ジャム、はちみつ、シロップなどの瓶詰め 常温で日持ちし、棚の見た目が作りやすい 1点あたりの単価が高く、動きが遅いと資金が寝る
4 マグカップ、器、カトラリー 期限がなく、売れ残っても翌シーズンに回せる 割れ物のため保管と梱包に手間がかかる
5 エプロン、トートバッグなどの雑貨 店の世界観を伝えやすい 食品より購入の理由が作りにくく、動きが遅い

食品と器・雑貨の違いは、期限があるかどうかです。食品は時間が経つと売れなくなりますが、器や雑貨は残っても翌シーズンに回せます。棚を組むときは、動きの速い食品と、期限のない器・雑貨を混ぜておくと、廃棄の負担が偏りません。器や雑貨の探し方は雑貨の仕入れ完全ガイドで扱っています。

ギフト用に自店で小分けや詰め合わせを行う場合は、必要な手続きや表示の義務が変わることがあるため、扱う形を具体的にしたうえで管轄の保健所に確認してください。

発注単位と最低注文金額の読み方

仕入れ先の条件で見落としやすいのが、1回の発注で満たす必要がある条件です。カタログの価格だけを見て決めると、いざ発注しようとしたときに数が合わないことがあります。確認する項目は次の4つです。

項目 何を意味するか 確認の仕方
販売単位(入数) 1個単位で買えるのか、ケース単位なのか 商品ページの「販売単位」「入数」の表記。ケースなら1ケースの入数
最低注文数量 その商品を注文するときの最少の数 商品ごとに設定されている場合がある
最低注文金額 1回の発注で満たす必要のある合計金額 仕入れ先ごと・配送のまとまりごとに設定されている場合がある
送料の条件 誰が負担するか、無料になる基準があるか 「◯円以上で送料無料」の基準額と、その集計単位

最低注文金額は、1商品では届かなくても、同じ仕入れ先の商品を組み合わせれば満たせることがほとんどです。棚に並べる商品を1点ずつ別々に検討するのではなく、同じ仕入れ先からまとめて何を仕入れるかという単位で考えてください。送料が無料になる基準額がある場合も同じで、その基準に届く発注にまとめるほうが1商品あたりの原価は下がります。ただし基準額に合わせるために売れる見込みのない商品を足すと、在庫として残ります。

仕入れ先が増えるほど、ログイン先・発注書・請求書・支払期日が分かれて管理の負担が積み上がります。その整理の考え方は仕入れ先の一元管理にまとめています。

原価率と販売価格 — 店内提供と物販で考え方が違う

店内で提供する飲み物・料理と、棚で売る物販商品では、価格の決め方が異なります。同じ基準で管理しようとすると、どちらかが合わなくなります。

店内提供の場合、材料費だけでなく、提供にかかる手間や、店内で過ごす時間に対する席の価値も価格に含まれます。飲食の提供では原価率30%前後を目安として挙げる例がよく見られますが、業態・立地・メニュー構成によって適正な水準は変わります。目安の数字をそのまま当てはめず、家賃・人件費を含めた自店の収支で確認してください。材料の使用量には、抽出時のロスや廃棄も含めて計算します。

物販の場合、卸価格と販売価格の差がそのまま粗利になります。メーカーの希望小売価格が決まっている商品では販売価格を大きく動かせないため、卸価格の掛け率が利益をほぼ決めます。1点あたりいくらで仕入れていくら残るか、送料を含めると原価がいくらになるか、売り切れるまでにどれくらいかかるかの3つで判断します。売り切れるまでの期間が長い商品は、粗利の額が大きくても資金が寝ます。掛け率と送料を含めた計算の手順は卸価格の決め方で解説しています。

カフェの開業前に決めておくこと

開業の準備中であれば、仕入れ先を探す前に決めておくと後の判断が速くなる項目があります。

項目 決めておく内容
メニューと売り場の方向性 提供する飲み物・料理と、棚に並べる商品の方向性。仕入れ先を選ぶ基準になります
許認可の確認 飲食店の営業許可、食品衛生責任者の設置、自店で菓子を製造する場合の許可など。扱う形を具体的にして、管轄の保健所へ事前に確認してください
資金の配分 初回の仕入れにいくら充てるか。物販は在庫として資金が寝るため、開業直後は絞る判断もあります
試作と試飲 主力の材料は、仕入れ先を決める前にサンプルで味と品質を確認します
初回発注の日程 開業日から逆算し、発注の締め切り、納品までの日数、最低注文金額を確認します
仕入れ先の複線化 主力の商品は、同等の商品を扱う別の仕入れ先を候補として控えておきます

許認可は、扱う商品と提供の形によって必要な手続きが変わります。パッケージ済みの商品をそのまま販売する場合と、自店で調理・製造・小分けを行う場合とでは条件が異なるため、計画の段階で管轄の保健所に確認してください。

仕入れ先の複線化は、開業後に効いてきます。主力のコーヒー豆が欠品したとき、代わりの調達先がなければ営業に直接影響します。候補を1社控えておくだけでも、対応の幅が変わります。

orosy のバイヤーポータルでできること

orosy のバイヤーポータルは、複数の仕入れ先の商品を1つの画面と1つのカートから検索し、発注から請求書までを完結できるサービスです。カフェの仕入れで関係するのは、次の点です。

一方で、現時点では紙コップやテイクアウト容器などの消耗資材の取り扱いはありません。消耗資材は包装資材の専門業者から、飲み物の材料や物販商品は卸・仕入れサイトから、と仕入れ先を分けて考えてください。店内提供用の材料についても、牛乳や生鮮のように短いサイクルで納品が必要な品目は、業務用食材の専門業者のほうが条件に合います。

登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。初期費用も月額もなく、クレジットカードの登録なしで始められます。事業者向けのサービスのため審査制ですが、審査を待つ間もテストモードで検索から発注までの流れを試せます(取引先に通知されず、発送も課金もされません)。登録には、事業者サイトの URL の入力が必要です(店舗の公式サイトや SNS のショップページなど、販売していることが分かる URL が対象になります)。

なお、お届け先は事業者の拠点(店舗・倉庫・事務所)で、購入者への直接発送には対応していません。自店の EC で商品を扱う場合は、店舗で受け取ってから発送する流れになります。また、発注は卸売の条件のままで、販売単位や配送グループごとの最低注文金額を下回る発注はできません。

よくある質問

カフェの仕入れ先はどうやって探せばよいですか。

仕入れるものを、店内で提供する材料と、棚で売る物販商品の2つに分けてから探すと絞り込めます。店内提供の材料は業務用の食材を扱う業者や、コーヒー豆・茶葉のメーカーとの直接取引が中心になります。物販商品は、複数のブランドを比べられる卸・仕入れサイトから始めると、少量で試しながら品ぞろえを組めます。紙コップやテイクアウト容器などの消耗資材は、包装資材を専門に扱う業者が別にあります。

個人経営のカフェでも卸価格で仕入れられますか。

仕入れられます。卸価格は法人だけのものではなく、個人事業主でも事業者として確認が取れれば取引できる仕入れ先が多くあります。ネット上の卸・仕入れサイトでは、登録時に事業者であることの確認(審査)があるのが一般的で、店舗の公式サイトや SNS のショップページなど、販売していることが分かる URL の提出を求められます。

カフェの物販は何から始めるとよいですか。

店内で出している飲み物と関係のある商品から始めるのが無理のない順番です。使っているコーヒー豆や茶葉を袋で売る、同じ産地のドリップバッグを置く、といった形です。お客様がその場で味を確かめたうえで買えるため、説明の手間が少なく、在庫も回りやすくなります。そこから焼き菓子、マグカップや雑貨へ広げていきます。

カフェの仕入れは小ロットでもできますか。

できます。小ロットに対応した仕入れ先を選べば少量から試せます。ただし商品ごとに販売単位(1個単位かケース単位か)が決まっており、仕入れ先ごとに最低注文金額が設定されている場合があります。1回の発注でその条件を満たす必要があるため、複数の商品をまとめて注文する前提で発注の計画を立ててください。

カフェの原価率はどのくらいを目安にすればよいですか。

飲食の提供では原価率30%前後を目安に挙げる例がよく見られますが、業態・立地・メニュー構成によって変わるため、目安をそのまま自店に当てはめないでください。物販は考え方が異なり、卸価格と販売価格の差がそのまま粗利になります。掛け率と送料を含めて1商品あたりいくら残るかを、仕入れ先ごとに計算して判断します。

開業前に仕入れ先はどう決めればよいですか。

先にメニューと売り場の方向性を決め、そのうえで仕入れ先を探す順番にします。仕入れ先が決まったら、開業日から逆算して、初回発注の締め切り、納品までの日数、最低注文金額を確認します。主力の商品は1社に絞らず、同等の商品を扱う別の仕入れ先を候補として控えておくと、欠品や納期の遅れがあっても営業を止めずに済みます。

賞味期限の短い商品はどう扱えばよいですか。

入荷時に期限を記録し、期限の近いものから先に出す運用を決めておきます。発注のたびに残りの期限を確認し、売り切れる見込みの範囲で数を決めます。ギフトとして売る商品は、買った方が贈り、受け取った方が食べるまでの期間も見込んで、余裕のある期限のものを選びます。詰め合わせを作る場合は、中身で最も期限の短い商品が全体の期限を決めます。

紙コップやテイクアウト容器も同じ仕入れ先で揃いますか。

同じ仕入れ先で揃うとは限りません。紙コップ、カップの蓋、テイクアウト容器、袋などの消耗資材は、包装資材を専門に扱う業者から仕入れるのが一般的です。飲み物の材料や物販商品とは仕入れ先を分け、資材は使用量が読めるようになった時点でまとめ買いに切り替えると、単価と発注の手間を下げられます。

複数の仕入れ先を、1 つの画面・1 つのカートで

orosy バイヤーポータルなら、複数の仕入れ先・約 20 万点の商品を、検索から発注・請求書まで 1 つの画面で扱えます。登録・利用は無料で、クレジットカードの登録も不要です。

orosy バイヤーポータルを見る