仕入れ・小売向け

食品の仕入れガイド — カフェ・雑貨店が「売り物としての食品」を仕入れる方法

読了目安 約8分
木の棚に並ぶ手づくりのジャムや保存食の瓶

写真: Yasin Onuş(Pexels)

物販として売る食品(コーヒー、紅茶、ジャム、はちみつ、だし、焼き菓子など)の仕入れは、卸・仕入れサイト、食品の展示会・商談会、生産者との直接取引から始められます。飲食店の食材調達とは目的もロットも異なり、常温で日持ちする加工食品を小ロットで試すところから広げるのが、在庫リスクを抑えやすい進め方です。

「食品 仕入れ」と検索すると、多くは飲食店向けの業務用食材の調達についての情報が出てきます。しかしカフェの物販棚、雑貨店やセレクトショップ、ギフトショップが探しているのは、それとは違うものです。調理の材料ではなく、パッケージされたまま棚に並べて売る商品としての食品です。

このガイドは後者に絞り、業務用の食材調達との違い、物販に向くジャンル、賞味期限と在庫の回し方、表示や許可で確認しておくこと、仕入れ先の探し方をまとめました。

業務用の食材調達と、物販用の食品仕入れは何が違うか

同じ「食品の仕入れ」でも、目的が違えば向いている仕入れ先も条件も変わります。まずこの2つを切り分けておくと、探すべき先を間違えずに済みます。

業務用の食材調達 物販用の食品仕入れ
目的 店内で調理して提供する原材料 パッケージのまま商品として販売する
主な買い手 飲食店、給食・宿泊施設 カフェの物販棚、雑貨店、セレクトショップ、ギフトショップ、EC
ロット まとまった量。同じ品を継続して大量に 少量・多品種。棚の構成に合わせて
重視される点 単価、安定供給、納品の頻度 ブランドの世界観、パッケージ、他店と被らないか
納品サイクル 短い(毎日〜週単位のことも) 売れ行きに応じて補充

業務用の食材卸は、決まった品目を継続して大量に納める前提で組まれた仕組みです。棚に並べる商品を少量ずつ、多くのブランドから集めたい場合には条件が噛み合いません。この記事で扱うのは後者、売り物としての食品の仕入れです。

物販に向く食品のジャンルと、始めやすさ

食品といっても幅は広く、扱いやすさはジャンルによってかなり違います。判断の軸は、常温で置けるか、日持ちするか、パッケージのまま売れるかの3点です。

ジャンル 特徴 日持ちの目安 始めやすさ
コーヒー豆・紅茶・お茶 パッケージの世界観が伝わりやすく、ギフトにも単品にも使える 常温で長め。開封後の風味は落ちる 高い
ジャム・はちみつ・ペースト 瓶の見た目が棚で映える。単価を上げやすい 常温で長め。開封後は要冷蔵のものが多い 高い
だし・調味料・オイル 産地や作り方の背景を語りやすい。リピートにつながる 常温で長め。オイルは光と温度に注意 高い
焼き菓子(個包装・日持ちタイプ) 手土産・詰め合わせの主役になる 日持ちタイプなら常温で長め(商品による) 中くらい
乾物・レトルト・缶詰 保管が楽で、季節の影響を受けにくい 常温で長い 高い
チョコレート ギフト需要が大きい一方、夏の温度管理が課題 温度帯の管理が前提 中くらい
生菓子・冷蔵・冷凍食品 鮮度が価値になるが、設備と配送の条件が増える 短い/要冷蔵・冷凍 低い(後から広げる)

はじめは常温・長期保存・個包装のジャンルに寄せると、設備投資も廃棄リスクも抑えられます。冷蔵・冷凍は、常温の商材で売れ方の感覚がつかめてから広げます。

食品を単体で並べるより、器やカトラリー、ラッピング資材と組み合わせたほうが売り場は組みやすくなります。食器や雑貨をあわせて仕入れる場合の探し方は、雑貨の仕入れ完全ガイドにまとめています。

賞味期限と在庫回転 — 食品仕入れで最初に決めること

食品の仕入れが雑貨と決定的に違うのは、時間が経つと売れなくなることです。雑貨なら翌シーズンに回せる在庫も、食品は期限を過ぎれば販売できません。仕入れの量を決める前に、次の3つを決めておきます。

  1. 入荷時に賞味期限を記録し、期限の近いものから先に出す
  2. 発注のたびに残りの期限を確認し、売り切れる見込みの範囲で数を決める
  3. 期限が近づいた商品の扱い(セット販売、まとめ売りなど)をあらかじめ決めておく

ギフト用途では、店頭に並ぶ期間だけでなく、買った人が贈り、受け取った人が食べるまでの期間も見込む必要があります。詰め合わせを作る場合は、中身で最も期限の短い商品がその詰め合わせ全体の期限を決めます。

だからこそ、食品は小ロットで試す意味が大きい商材です。売れるか分からない商品をまとめて仕入れると、売れ残りがそのまま廃棄になります。少量で反応を見て、動いた商品だけ数を増やしていく進め方が、在庫リスクを抑えられます。掛け率と送料を含めて利益が残るかの考え方は、卸価格の決め方で解説しています。

表示・許可・温度帯 — 仕入れる前に確認すること

食品は、雑貨にはない確認事項があります。ここは自己判断で進めず、扱う形を具体的にしたうえで確認するのが確実です。

食品表示と、自店で手を加える場合の扱い メーカーがパッケージ済みの商品をそのまま販売する場合と、自店で小分けにしたり詰め合わせにして売る場合とでは、必要な手続きや表示の義務が変わることがあります。オリジナルのギフトセットを企画する予定があるなら、その形を具体的にしたうえで、管轄の保健所に事前に確認してください。仕入れ先には、表示ラベルの提供形式と、アレルゲン・原材料の情報がもらえるかを確認しておきます。

温度帯 常温・冷蔵・冷凍のどれかで、必要な保管設備も配送条件も変わります。常温中心であれば、既存の店舗やバックヤードのまま始められることが多く、配送も通常便で完結します。冷蔵・冷凍を扱うなら、保管設備と配送料の増加、着荷時の受け取り体制まで含めて採算を見ます。

輸入食品を扱う場合 海外の食品を直接輸入する場合は、国内で販売するための手続きが別途必要になります。国内の輸入卸から仕入れればその手続きは仕入れ先側で済んでいるのが一般的なため、まず国内の卸経由で試す順番が現実的です。

食品の仕入れ先を探す方法と、始める手順

物販用の食品の仕入れ先は、大きく3つの入り口があります。

仕入れ先の種類 特徴 向いている段階
卸・仕入れサイト ネット上で複数のブランドを比べて発注できる。登録無料のものが多い 立ち上げ期。まず品揃えを試したいとき
食品の展示会・商談会 作り手と直接会い、試食して選べる。新しいブランドと出会える 方向性が決まってから
メーカー・生産者と直接取引 条件を交渉でき、独自性を出しやすい 主力商材が固まってきたとき

「食品卸 ネット」で探す場合、多くは業務用食材のサイトが目に入りますが、物販向けのブランドを扱う卸・仕入れサイトもあります。ネットでの仕入れと実店舗の問屋・展示会の違いはネット卸とは、展示会に足を運ぶ場合の見どころは展示会出展の費用を参考にしてください。

進め方は次の順番です。

  1. 売り場のテーマを言葉にする(産地でまとめる、贈り物に寄せる、飲みものに絞る など)
  2. 常温・日持ちするジャンルから、条件の合う仕入れ先に登録する(多くは無料)
  3. 小ロットで試し、実物の質、パッケージ、賞味期限の長さ、納期を確かめる
  4. 動いた商品を軸に補充のサイクルを固め、扱うブランドを広げる
  5. 方向性が固まったら、展示会や直接取引で他店と被らない商品を足していく

コーヒーはこの卸、瓶詰めはあの卸、と扱うブランドが増えるほど登録先も注文も請求も分かれていきます。複数の仕入れ先をまとめて扱う方法は、仕入れ先の一元管理で手順つきで解説しています。

なお、orosy のバイヤーポータルを使うと、仕入れ先ごとに分かれていた登録・注文・請求を 1 つにまとめられます。登録・利用は無料で、クレジットカードの登録も不要です。審査制で、審査を待つ間もテストモードで検索から発注まで試せます。

よくある質問

食品の仕入れはどこからできますか?

卸・仕入れサイト、食品の展示会・商談会、メーカーや生産者との直接取引が主な入り口です。物販として売る加工食品であれば、登録無料で小ロットから試せる卸・仕入れサイトから始めるのが現実的です。卸価格は事業者向けの価格のため、事業者確認(審査)があるのが一般的です。

業務用の食材卸と、物販用の食品仕入れは何が違いますか?

目的とロットが違います。業務用の食材卸は、飲食店が調理して提供するための原材料を、まとまった量・短い納品サイクルで調達する仕組みです。物販用の食品仕入れは、パッケージされた完成品をそのまま棚に並べて売るための仕入れで、少量・多品種で、見た目やブランドの世界観が重視されます。

食品を小ロットで仕入れることはできますか?

できます。小ロットに対応した仕入れ先を選べば、少量から試せます。食品は賞味期限があるため、売れるか分からない商品を大量に持つと売れ残りがそのまま損失になります。まず少量で反応を見て、動いた商品だけ数を増やす進め方が向いています。

食品を販売するのに許可は必要ですか?

扱い方によって変わるため、管轄の保健所への確認が必要です。パッケージ済みの商品をそのまま販売する場合と、自店で小分けにしたり詰め合わせを作ったりする場合とでは、必要な手続きや表示の義務が変わることがあります。仕入れを決める前に、扱う予定の形を具体的にして相談してください。

物販に向いている食品のジャンルはどれですか?

常温で日持ちし、パッケージのまま売れるものが始めやすいジャンルです。コーヒー・紅茶などの飲料、ジャムやはちみつなどの瓶詰め、だしや調味料、個包装の焼き菓子が代表的です。冷蔵・冷凍が必要な商品は保管設備と配送の条件が増えるため、後から広げる順番が無理のない進め方です。

賞味期限のある食品の在庫はどう管理すればよいですか?

入荷時に期限を記録し、期限の近いものから先に売る運用を決めておきます。発注のたびに残りの期限を確認し、売り切れる見込みの範囲で数を決めます。ギフト用途では、贈る相手に渡るまでの期間も見込んで余裕のある期限のものを選びます。

ネットで食品を卸価格で仕入れられますか?

仕入れられます。ネット上の卸・仕入れサイトに登録し、事業者確認(審査)を通れば、卸価格で発注できます。実店舗の問屋や展示会と違い、時間や場所を選ばずに複数のブランドを比べられるのが利点です。

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