仕入れ先の一元管理とは、複数の卸・仕入れサイトに分かれた商品検索・発注・請求のやり取りを、1つの画面にまとめて扱うことです。仕入れ先ごとのログインや個別注文の手間を減らし、発注状況を1か所で把握できるようにします。
小売店や EC を運営していると、扱う仕入れ先は少しずつ増えていきます。ジャンルごとに得意な卸を使い分けたり、良いブランドを見つけるたびに新しい仕入れサイトに登録したりするうちに、気づけばログイン先が5つも6つもある、という状態になりがちです。
このガイドでは、「仕入れ先の一元管理」という言葉の意味を整理したうえで、複数の卸・仕入れサイトを1つにまとめる具体的な方法を、手順とチェックリストとともに解説します。
仕入れ先の一元管理とは何か
仕入れ先の一元管理とは、複数の仕入れ先に分かれている「商品を探す」「発注する」「請求・支払いをする」という一連のやり取りを、できるだけ1か所にまとめて扱う考え方です。
仕入れ先が1社だけなら、そのサイトにログインして注文すれば済みます。ところが仕入れ先が増えると、次のようにあらゆる作業が仕入れ先の数だけ分かれていきます。ログインは仕入れ先ごと、カートも注文履歴も別々、請求書は締め日も支払い方法もバラバラ、という状態です。
一元管理は、この分かれてしまった作業を束ねます。「どこに何を発注したか」「いつ届くか」「いくら支払うか」を1か所で見渡せるようにするのが目的です。
仕入れ先が増えるほど、手間はどこで生まれるのか
仕入れ先が増えると、同じ作業の繰り返しが増えるだけではありません。仕入れ先をまたいで確認したり、突き合わせたりする作業が新しく生まれます。手間がどこで発生するのかを整理すると、次のようになります。
| 分かれるもの | 具体的に生まれる手間 |
|---|---|
| ログイン・アカウント | 仕入れ先ごとに ID とパスワードを管理する |
| カート・発注 | 1つの入荷計画でも、仕入れ先ごとに別々に発注する |
| 請求・支払い | 締め日・支払い方法・振込先がそれぞれ違う |
| 納期・在庫の確認 | 発注状況を知るために複数のサイトを行き来する |
| 商品の比較 | 横断で検索できず、価格や納期の比較が手作業になる |
特に負担が大きいのは、いちばん下の「商品の比較」と、いちばん上の「アカウント管理」です。良い仕入れ先を増やすほど選択肢は広がりますが、その分だけ探す手間と管理の手間も増えていく、という板挟みが起こります。
複数の仕入れ先を1つにまとめる3つの方法
複数の仕入れ先をまとめる方法は、大きく3つに分けられます。どこまでの手間を減らしたいかによって、向いている方法が変わります。
| 方法 | 向いている場合 | 注意しておきたい点 |
|---|---|---|
| スプレッドシートで手作業管理 | 仕入れ先が2〜3社で、注文の頻度が低い | 発注そのものは各サイトで行う。件数が増えると管理表が追いつかなくなりやすい |
| 受発注・在庫管理システム(SaaS)を導入 | 複数店舗・複数チャネルの在庫や受注をまとめて管理したい | 主に自社の販売・在庫を管理するためのツール。仕入れ先での商品検索や発注そのものは別に行う |
| 仕入れ先を横断できる卸マーケットプレイスを使う | 仕入れ先ごとの契約・発注・請求をまとめたい | 扱える商品は、そのマーケットプレイスに登録された仕入れ先の範囲に限られる |
方法1:スプレッドシートで手作業管理する
最も手軽なのは、発注内容や納期を1枚の表にまとめて管理する方法です。費用がかからず、すぐに始められます。ただし発注そのものは各仕入れサイトで行うため、注文の手間自体は減りません。仕入れ先や注文件数が増えてくると、表への転記が追いつかなくなり、抜け漏れが起きやすくなります。
方法2:受発注・在庫管理システムを導入する
CROSS MALL や助ネコ、TS-BASE といった受発注・在庫管理システムは、複数の販売チャネルの在庫や受注をまとめて扱えます。自社が複数のモールや店舗で売っている場合には有効です。一方で、これらは主に「自分の販売側」を管理するツールです。新しい仕入れ先の商品を探したり、仕入れの発注そのものを1画面で行ったりする用途とは、役割が異なります。
方法3:仕入れ先を横断できる卸マーケットプレイスを使う
もう1つの方法は、複数の仕入れ先の商品を1か所で扱える卸マーケットプレイスを使うことです。仕入れの「探す・発注する・請求される」というやり取りそのものを、1つの画面にまとめられるのが特徴です。
例えば orosy のバイヤーポータルは、複数の仕入れ先・約 20 万点の商品を、1つの画面・1つのカートで検索から発注・請求書まで扱えます。仕入れ先が違う商品でもカートは1つで、個別の交渉や口座開設は orosy が引き受けます。登録・利用は無料で、クレジットカードの登録も不要です。
仕入れ先の一元管理を始める手順
いきなり全部をまとめようとすると、かえって混乱します。今の状態を整理してから、範囲を決めて少しずつ移していくのが現実的です。次の順番で進めると、無理なく定着します。
- いま使っている仕入れ先と、それぞれの注文方法・請求方法を書き出す
- まとめたい範囲を決める(商品検索まで/発注まで/請求まで、のどこを1つにするか)
- 3つの方法の中から、その範囲に合うものを選ぶ
- まずは少数の商品や1ジャンルだけで試し、手間がどれだけ減るかを確認する
- 問題がなければ、扱う商品や仕入れ先を段階的に移していく
一元管理の方法を選ぶときに確認すること
方法を選ぶときは、「今より本当に楽になるか」を具体的な項目で確認しておくと、導入後のギャップを防げます。次のチェックリストを目安にしてください。
| 確認する項目 | なぜ確認するのか |
|---|---|
| 初期費用・月額費用 | 無理なく続けられるコストかどうか |
| 対応している仕入れ先・商品の範囲 | 自分が扱いたい商材が含まれているか |
| どこまでまとまるか(検索・発注・請求) | 実際に減らせる手間の範囲を見極める |
| 支払い方法と締め日 | 経理・支払い作業の負担がどう変わるか |
| 小ロット・少量から試せるか | いきなり大量発注せずに始められるか |
これから開業する方や、仕入れ先そのものをまだ探している段階の方は、あわせて小売店・EC の仕入れ完全ガイドも参考にしてください。仕入れ先の探し方と選び方を、開業の流れに沿ってまとめています。
よくある質問
仕入れ先の一元管理とは何ですか?
複数の卸・仕入れサイトに分かれている商品検索・発注・請求のやり取りを、1つの画面にまとめて扱うことです。仕入れ先ごとのログインや個別注文の手間を減らせます。
複数の仕入れサイトを1つにまとめると、どんなメリットがありますか?
ログイン・カート・請求が仕入れ先ごとに分かれる手間が減り、発注状況を1か所で把握できます。横断で商品を比較しやすくなり、経理の締め作業もまとまります。
受発注管理システムと卸マーケットプレイスは何が違いますか?
受発注管理システムは、主に自社の在庫や販売を管理するツールです。卸マーケットプレイスは、仕入れ先の商品を検索し、発注そのものを行う仕入れの場所です。まとめたい対象が「自社の販売」か「仕入れのやり取り」かで、選ぶ方向が変わります。
仕入れ先の一元管理は無料で始められますか?
方法によります。スプレッドシートでの手作業管理は費用がかかりません。卸マーケットプレイスにも、登録・利用が無料で始められるものがあります。
仕入れ先が違う商品を、1回の注文でまとめられますか?
仕入れ先を横断できる卸マーケットプレイスを使うと、仕入れ先が違う商品でもカートを1つにまとめて発注できる場合があります。対応している範囲はサービスごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。
