ネットショップ開業時の仕入れは、卸・仕入れサイトへの登録から始めるのが現実的です。オンラインで登録から発注まで完結し、少量から試せるためです。商品データを先に取得して EC に掲載し、注文が入ってから仕入れる進め方もあります。審査制の仕入れサイトでは販売先の URL の入力が必須のことが多く、orosy のバイヤーポータルでも必須です。ショップのページを先に用意してから登録してください。
ネットショップを開こうと決めたあと、多くの方が最初に止まるのが仕入れです。カートサービスの契約もデザインも自分で進められるのに、「商品をどこから、どういう条件で引いてくるのか」だけは調べても像が結びにくい。仕入れの世界は、これまで実店舗を前提に組み立てられてきた部分が大きく、EC を始める人向けの説明があまり整理されていないためです。
この記事では、ネットショップの仕入れを、実店舗との違い、仕入れ先の種類と EC との相性、開業前に用意するもの、在庫を持たずに始める方法、原価率の考え方の順に整理します。対象は、実店舗や EC で商品を販売する事業者の方です。仕入れ全体の基礎から確認したい方は、小売店・EC の仕入れ完全ガイドを先に読むと位置づけがはっきりします。
ネットショップの仕入れは実店舗の仕入れと何が違うか
同じ「仕入れ」でも、EC と実店舗では意思決定の順番が変わります。違いは主に3つです。
1つ目は、商品を並べるコストの差です。実店舗では棚のスペースが有限なので、置く商品を絞る前提で仕入れます。EC は掲載点数を増やしても家賃が増えないため、まず幅広く並べて反応を見る、という進め方が取れます。
2つ目は、商品情報の重みです。実店舗ではお客様が手に取って質感を確かめられますが、EC では写真と説明文がその代わりになります。仕入れ先を選ぶときに、商品画像やスペック情報が使える形で提供されるかどうかが、実店舗よりはるかに効いてきます。
3つ目は、在庫と注文のタイミングです。実店舗は先に仕入れて棚に置く以外の選択肢がありませんが、EC では商品データを先に掲載し、注文が入ってから仕入れる進め方も選べます。この点は後半で詳しく扱います。
つまり EC の仕入れでは、「安く買えるか」に加えて「掲載に使える情報が揃うか」「少量で回せるか」が判断軸に入ります。
仕入れ先の種類と、ネットショップとの相性
仕入れ先は大きく4種類です。EC との相性という観点で並べると、始めるべき順番が見えてきます。
| 仕入れ先の種類 | ネットショップとの相性 | 商品情報の扱いやすさ | 向いている段階 |
|---|---|---|---|
| 卸・仕入れサイト | 高い。オンラインで登録から発注まで完結する | 画像・説明文がデータで提供されることが多い | 開業初期。まず品揃えを試したいとき |
| 展示会・見本市 | 中程度。その場で商品を持ち帰ることはできず、発注のみになる | 画像は個別に依頼することが多い | 方向性が決まり、取引先を広げたいとき |
| メーカー・ブランドへ直接連絡 | 中程度。販売実績を求められることがある | 交渉次第。まとまった素材を借りられる場合もある | 主力商材が固まってきたとき |
| 海外からの輸入 | 低め。関税・国際送料・リードタイムの知識が要る | 翻訳や画像の作り直しが必要になりやすい | 他店と被らない品揃えを強めたいとき |
開業初期は、いちばん上の卸・仕入れサイトから始めるのが現実的です。個人事業主が使える仕入れサイトも多く、審査を通れば少量から試せます。個人での登録や審査の通り方は卸仕入れは個人でもできるにまとめました。サイトごとの条件の比べ方は仕入れサイトの比較を参照してください。雑貨のようにブランド数が多い商材は探し方にコツがあるため、雑貨の仕入れ完全ガイドもあわせてご覧ください。
開業前に用意するもの — 販売先の URL・開業届・請求先
仕入れ先への登録でつまずく原因の多くは、書類ではなく「販売する場所を示せるか」です。次の4つを先に用意しておくと、複数の仕入れ先に登録するときも同じ材料を使い回せます。
- 販売先の URL — 自社 EC、SNS ショップ、出店モールの店舗ページなど、商品を販売する場所のアドレスです。審査制の仕入れサイトでは入力が必須になっていることが多く、orosy のバイヤーポータルでも必須です
- 開業届の控え — 事業を始めたときに税務署へ提出する届出です。事業者確認の材料として使われます
- 屋号と事業所の情報 — 連絡先と取引相手を特定するために使われます。屋号名義の口座があると入出金の管理も分けやすくなります
- 請求書の送付先と支払方法 — 仕入れ先からの請求をどこで受け、どう支払うかを決めておきます
順番として、ショップのページを先に公開してから仕入れ先に登録するのが確実です。商品がまだ並んでいなくても、扱うジャンル・コンセプト・特定商取引法に基づく表記が入ったページがあれば、事業の実態は伝わります。
開業前に仕入れた商品の経費処理を気にされる方も多いのですが、ここは注意が必要です。開業前の支出には開業費として扱えるものがある一方、販売するための商品は仕入れ(売上原価)として扱い、売れた分だけがその年の費用になるのが原則です。判断が分かれる部分があるため、実際の処理は税理士または所轄の税務署に確認してください。
在庫を持たずに始める — 商品データを先に取得して EC に並べる
EC ならではの進め方が、商品データを先に取得して自社のショップに掲載し、注文が入ってから仕入れる方法です。売れるかどうか分からない段階で在庫を抱えずに済むため、開業初期の資金負担を抑えられます。
ただし、この進め方には前提があります。掲載しても発注は卸の条件のままである、という点です。商品ごとに販売単位(入数)が決まっており、配送グループごとに最低注文金額が設定されていることもあります。注文が1件入るたびに1点ずつ引けるとは限らないため、次の点を先に確認してください。また、商品はいったん自社の拠点へ届く前提で考えてください。仕入れ先が購入者へ直接発送する形(消費者直送)に対応していない仕入れ先もあり、その場合は自社で検品・梱包してから発送することになります。
- 掲載してよい商品画像・説明文が提供されるか
- 発注から着荷までの日数(購入者に表示する納期に含める)
- 商品ごとの販売単位はいくつか
- 最低注文金額はいくらか、どの単位(仕入れ先ごと・配送グループごと)で判定されるか
- 在庫数の更新をどう受け取るか
- 商品の届け先を自社の拠点(店舗・倉庫・事務所)にできるか
orosy のバイヤーポータルは、この進め方ができる審査制の仕入れサイトです。承認後は複数の仕入れ先・約 20 万点の商品を1つの画面・1つのカートで扱え、商品データを先に取得して自社の EC に並べたうえで、注文が入ってから発注できます。日常の発注は画面から、自社システムと繋ぎ込みたい場合は API 経由でも同じカタログとカートを使えます。登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。クレジットカードの登録は必要ありません。登録時に会社名・事業者サイトの URL・事業内容を入力します(事業者サイトの URL は必須です。自社 EC や SNS ショップなど、販売先のページをご用意ください)。審査を待つ間もテストモードで検索から発注までひととおり試せます(取引先には通知されず、発送も課金もされません)。なお、この方法でも発注は卸の条件のままで、販売単位や最低注文金額を下回る発注はできません。お届け先は店舗・倉庫・事務所など事業者の拠点を前提としています(購入者への直接発送には対応していません)。
複数の仕入れ先を使い始めると、ログイン先や請求がその数だけ分かれていきます。まとめ方の考え方は仕入れ先の一元管理で手順つきに解説しています。
仕入れ値と原価率の考え方
「仕入れの何パーセントが原価になるのか」はよく聞かれる質問です。卸価格は上代に掛け率を掛けて決まり、6掛け(上代の60%)のように表します。実際の掛け率は商材・ブランド・取引条件によって異なるため、仕入れ先が提示する条件を個別に確認してください。また、手元に残る金額は仕入れ値だけでは決まりません。EC では実店舗にない費用が積み上がるためです。
| 差し引かれる費用 | 内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 仕入れ価格(下代) | 販売価格に掛け率を掛けた金額 | 送料が仕入れ側にかかるかどうかで実質額が変わる |
| 仕入れ時の送料 | 仕入れ先からの配送費 | 無料になる基準額を下回ると、少量発注ほど負担が重くなる |
| 販売時の配送費 | お客様へ発送する費用と梱包資材 | 送料無料ラインを設ける場合は自社負担分を計算に入れる |
| 決済手数料 | カード・コンビニ決済などの手数料 | 販売価格に対して数パーセント単位でかかる |
| モール・カートの利用料 | 出店料、販売手数料、月額費用 | 販路ごとに率が違うため、同じ商品でも利益が変わる |
上代1,000円の商品を6掛けで仕入れた場合、粗利は400円です。ここから配送費・決済手数料・利用料を引くと、実際に残る金額はさらに小さくなります。少量ずつ仕入れられることは在庫リスクの面では有利ですが、そのぶん1回あたりの送料負担は重くなります。掛け率の計算と価格設定の考え方は卸価格の決め方にまとめています。
開業初期によくあるつまずき
最後に、ネットショップの開業初期に起こりやすいつまずきを整理します。どれも先回りできるものです。
| よくあるつまずき | 何が起きるか | 先回りの対策 |
|---|---|---|
| ショップの公開前に仕入れ先を探し始める | 販売先の URL を入力できず、審査の手前で止まる | 商品ゼロでもよいので、コンセプトと表記が入ったページを先に公開する |
| 掲載できる商品画像を確認していない | 並べたい商品はあるのに、商品ページが作れない | 登録前に、掲載に使える画像・説明文が提供されるかを確認する |
| 最低注文金額を見ていない | 注文が入ったのに、その1件では発注できない | 配送グループごとの最低注文金額と販売単位を先に控えておく |
| 送料と手数料を利益計算に入れない | 売れているのに手元にお金が残らない | 仕入れ値・送料・決済手数料・利用料をセットで計算する |
| 品揃えを広げる前に絞り込む | 何が売れるか分からないまま、少ない商品で判断してしまう | まず幅を持って掲載し、反応が出たジャンルに寄せていく |
ネットショップの仕入れは、最初から完成させるものではありません。販売先のページを整えて仕入れ先に登録し、少量または在庫を持たない形で並べて反応を見る。そこから売れた商材に寄せていく——この順番で進めるのが、開業初期にはいちばん確実です。
よくある質問
ネットショップの仕入れはどこから始めればよいですか?
まず扱うジャンルを決め、そのジャンルを扱う卸・仕入れサイトに登録するところから始めるのが現実的です。オンラインで登録から発注まで完結し、少量から試せる仕入れ先が多いためです。展示会やメーカーとの直接取引は、売れる商材が見えてきた段階から広げていきます。
個人でも仕入れて販売できますか?
できます。多くの仕入れ先が確認しているのは法人か個人かではなく、事業として販売する相手かどうかです。販売先のページ(自社 EC・SNS ショップ・出店モールの店舗ページ)を用意し、あわせて開業届の控えなど事業の実態が分かる情報をそろえれば、個人事業主でも利用できる仕入れ先があります。販売先の URL の入力を必須にしている仕入れ先が多いため、ページの用意が最初の一歩になります。
仕入れて売る業種にはどんなものがありますか?
小売業に分類される事業が中心です。実店舗の物販、ネットショップ、モールへの出店、イベントやポップアップでの販売などが含まれます。飲食店やサロンが物販を併設する場合も、商品の仕入れと販売を行う点は同じです。
開業前に仕入れた商品は経費になりますか?
扱いは状況によって変わります。開業前の支出は開業費として扱えるものがある一方、販売するための商品は仕入れ(売上原価)として扱い、売れた分だけがその年の費用になるのが原則です。判断が分かれる部分があるため、実際の処理は税理士または所轄の税務署に確認してください。
仕入れの何パーセントが原価になりますか?
卸価格は上代に掛け率を掛けて決まり、6掛け(上代の60%)のように表します。実際の掛け率は商材・ブランド・取引条件によって異なるため、仕入れ先が提示する条件を個別に確認してください。また、手元に残る金額は仕入れ値だけでは決まりません。送料、決済手数料、モールやカートの利用料、梱包資材を差し引いて計算してください。
在庫を持たずにネットショップを始められますか?
商品データを先に取得して自社の EC に掲載し、注文が入ってから仕入れる進め方はできます。ただし発注は卸の条件のままで、商品ごとの販売単位や、配送グループごとに設定された最低注文金額を下回る発注はできません。注文が入るたびに1点ずつ仕入れられるとは限らない点に注意してください。商品の届け先は自社の拠点となるため、購入者へ発送する作業は自社で行います。
