小ロット仕入れとは、商品を少ない数量ずつ仕入れる方法です。少量で仕入れると売れ残りの在庫は抱えにくくなりますが、1回の発注にかかる送料を少ない個数で割ることになるため、1個あたりの原価は上がります。仕入れ先が定める発注単位・最低注文金額・送料が無料になる基準を確認し、送料を1個あたりに換算して仕入れ値に乗せたうえで、売れる速さと手元の資金に合わせて数量を決めるのが基本です。
小さな店舗や自社の EC で商品を扱うとき、最初から大量に仕入れるのは負担の大きい判断です。一方で、少量の発注には送料が重くのしかかります。数個の注文に数百円の送料がかかれば、1個あたりの原価は仕入れ値より大きく上がり、販売価格によっては売っても利益が残りません。
この記事では、小ロットで仕入れるときに確認する条件と、送料を含めた原価の考え方を整理します。ロット・発注単位・入数といった言葉の意味、最低注文金額と送料無料ラインの見方、送料負けを避ける計算例、まとめ買いと在庫の釣り合い、そして小ロットで始めて量を増やしていく手順までを扱います。対象として想定しているのは、実店舗や EC で商品を販売する事業者です。
小ロット仕入れとは — ロット・発注単位・入数の意味
小ロット仕入れとは、商品を少ない数量ずつ仕入れることです。「ロット」は、まとめて取引される数量のひとかたまりを指す言葉で、「1ロット12個」のように使います。卸取引では、仕入れ先がロットや発注単位を決めており、その刻みでしか注文できないことが一般的です。卸取引の基本的な仕組みは卸売とはで解説しています。
発注の条件を読むときに出てくる言葉を整理します。
| 言葉 | 意味 | 発注への影響 |
|---|---|---|
| ロット | まとめて取引される数量のひとかたまり | 最少の注文数量と、増やすときの刻みが決まる |
| 発注単位 | 注文するときに数量を増やす刻み(1個・1セット・1ケースなど) | 「1ケース単位」なら1ケースずつしか増やせない |
| 入数 | 1セット・1ケースに入っている商品の個数 | 発注単位が1ケースで入数12個なら、最少数量は12個 |
| 最低注文数量 | 1回の発注で満たす必要がある個数 | これを下回る注文は受け付けられないことがある |
| 最低注文金額 | 1回の発注で満たす必要がある金額 | 数量ではなく合計金額で判定される |
| 送料無料ライン | 送料が無料になる注文金額の基準 | 基準に届くかどうかで、1回の発注にかかる送料が変わる |
同じ「小ロット」でも、1個から注文できる商品と、1ケース(入数12個)が最少の商品では、必要な資金も置き場所も違います。まず発注単位と入数を掛け合わせて「最少で何個・いくらになるか」を確認してください。
最低注文金額と送料無料ラインの見方
小ロットで仕入れるときに確認する条件は、大きく2種類あります。1つは「注文を受け付けてもらうための下限」で、最低注文数量や最低注文金額がこれにあたります。もう1つは「送料が変わる境目」で、送料無料ラインがこれにあたります。前者を満たさなければ発注そのものが成立せず、後者を満たすかどうかで原価が変わります。
これらの条件は、仕入れ先の取引条件の案内、価格表、商品ページのいずれかに書かれているのが一般的です。仕入れ先によって書いてある場所が違うため、見つからない場合は発注前に問い合わせてください。
条件を読むときは、次の3点を確認します。
- 数量で決まるのか、金額で決まるのか。 最低注文数量なら個数を、最低注文金額なら合計金額を満たす必要があります。両方が設定されていることもあります
- どの単位で判定されるのか。 仕入れ先ごとに判定する場合と、ブランドや発送元ごとに判定する場合があります。複数のブランドを扱う仕入れ先では、ブランドごとに条件が違うこともあります
- 満たせなかったときにどうなるのか。 注文を受け付けない仕入れ先もあれば、通常より高い送料や手数料を加えて受け付ける仕入れ先もあります
送料無料ラインは、満たさなくても発注自体はできることが多い条件です。ただし、少量の発注でかかった送料は、次の節で計算するとおり1個あたりの原価に直接乗ってきます。
送料負けを避ける計算の考え方 — 1個あたりの送料を仕入れ値に乗せる
送料負けとは、1回の発注にかかる送料を個数で割った金額が大きく、商品を売っても送料の分で利益が残らなくなる状態です。仕入れ値だけを見て販売価格を決めていると起こります。避けるには、送料を1個あたりに換算し、仕入れ値に乗せた金額を原価として扱います。
計算式は次の1本です。
1個あたりの原価 = 仕入れ値 + (1回の発注にかかる送料 ÷ その発注の個数)
架空の数値で計算します。仕入れ値が1個400円(税抜)、1回の発注にかかる送料が900円、販売価格を800円(税抜)とした例です。金額はすべて例示で、実際の送料や仕入れ値は仕入れ先と商品によって異なります。
| 1回の発注個数(例) | 1個あたりの送料 | 1個あたりの原価 | 販売価格800円のときの粗利率 |
|---|---|---|---|
| 5個 | 900 ÷ 5 = 180円 | 580円 | 約27.5% |
| 10個 | 900 ÷ 10 = 90円 | 490円 | 約38.8% |
| 20個 | 900 ÷ 20 = 45円 | 445円 | 約44.4% |
| 30個 | 900 ÷ 30 = 30円 | 430円 | 約46.3% |
仕入れ値だけで見れば、400円で仕入れて800円で売る商品は粗利率50%です。ところが5個の発注では送料が1個あたり180円乗り、粗利率は約27.5%まで下がります。同じ商品でも、発注個数によって粗利率がここまで動きます。発注個数を増やすほど1個あたりの送料は下がりますが、下がり方は個数が増えるにつれて緩やかになります。この例では、10個から20個へ増やすと1個あたり45円下がるのに対し、20個から30個へ増やしても15円しか下がりません。
送料を原価に乗せたあとの販売価格の決め方は、販売価格の決め方で計算手順を整理しています。仕入れ値の基準になる上代・下代・掛け率の読み方は上代・下代とはをご覧ください。
まとめ買いと在庫の釣り合い — 回転・保管・資金の3点
前の節の計算だけを見ると、発注個数は多いほど有利に見えます。しかし、まとめて仕入れた商品は売れるまで在庫として手元に残ります。まとめ買いの判断は、送料の節約と、在庫を持つ負担を釣り合わせて決めます。見る点は次の3つです。
| 見る点 | 確認すること | まとめ買いに向く場合 | 小ロットに向く場合 |
|---|---|---|---|
| 回転 | その数量が売り切れるまでの期間 | 定番で売れる速さが読める商品 | 初めて扱う商品、季節や流行に左右される商品 |
| 保管 | 置き場所と、保管中の劣化や破損のリスク | 小さく軽く、長く置いても状態が変わらない商品 | かさばる商品、期限や劣化のある商品 |
| 資金 | 仕入れ代金が先に出ていき、売れて戻るまでの期間 | 手元資金に余裕があり、支払いから回収までの期間を負担できる | 資金を複数の商品に分けて使いたい、回収までの期間を短くしたい |
送料無料ラインとの釣り合いも、同じ3点で考えます。前の節と同じ例で、送料無料ラインが注文金額10,000円(例)だとします。400円の商品を20個注文すると8,000円で、送料900円がかかります。あと5個(2,000円分)足せば10,000円に届き、送料は0円になります。
このとき比べるのは、「送料の900円」と「追加した5個分の2,000円が在庫として残る負担」です。追加した5個が売れる見込みの範囲にあるなら、2,000円は商品として戻ってくるので、送料900円を払わずに済む分だけ有利です。売れる見込みを超えているなら、900円を節約するために2,000円分の在庫と置き場所を抱えることになります。無料ラインに合わせるかどうかは、不足額の大きさではなく、足した分が売り切れるまでの期間で判断してください。
点数が多く単価の小さい商品ほど、送料が原価に占める割合は大きくなり、この釣り合いの判断が利益を左右します。雑貨のように品数で見せる商品の仕入れ方は雑貨の仕入れガイドで扱っています。
小ロットで始めて量を増やしていく手順
小ロット仕入れは、売れ方を確かめながら発注の数量と頻度を段階的に調整していく進め方です。手順を5段階に分けて整理します。
手順1: 最少数量と条件を確認する。 扱いたい商品の発注単位・入数・最低注文数量・最低注文金額・送料の条件を、仕入れ先の取引条件や商品ページで確認します。「最少で何個・いくらになるか」を先に出しておきます。
手順2: 送料を含めた原価で販売価格を決める。 最少数量で発注した場合の1個あたりの送料を仕入れ値に乗せ、その原価で販売価格を決めます。最少数量のときの原価で利益が残る価格にしておけば、発注を増やしたときには原価が下がる方向にしか動きません。
手順3: 最少数量で発注し、売れる速さを記録する。 入荷した日と、その数量が売り切れるまでの日数を記録します。この日数が、次の発注量を決める材料になります。
手順4: 売れる速さに合わせて発注量と頻度を決める。 売り切れるまでの期間が短い商品は、1回の発注量を増やして送料の負担を下げます。期間が長い商品は、発注量を増やさず、発注の間隔を空けます。複数の商品を同じ仕入れ先から仕入れているなら、発注日をそろえて1回にまとめると、送料を複数の商品で分け合えます。
手順5: 定期的に見直す。 季節や販売チャネルの変化で売れる速さは変わるため、月に1回など決まった間隔で、商品ごとの発注量と送料の負担を見直してください。
仕入れ全体の流れは小売店・EC の仕入れ完全ガイドに、個人事業主として卸取引を始めるときの準備は個人事業主の卸仕入れにまとめています。
orosy のバイヤーポータルで小ロット仕入れを始める場合
orosy のバイヤーポータルは、複数の仕入れ先・約20万点の商品を、1つの画面・1つのカートで検索から発注・請求書まで扱えます。同じ発送元からまとめて送られる商品のまとまりを配送グループと呼び、各商品の販売単位と配送グループの最低注文金額(設定されている場合)を満たせば少量から注文できます。登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。審査制で、審査を待つ間もテストモードで検索から発注まで試せます。登録には事業者サイトの URL が必要です。
よくある質問
小ロット仕入れとは何ですか。
小ロット仕入れとは、商品を少ない数量ずつ仕入れることです。ロットは、まとめて取引される数量のひとかたまりを指します。少量で仕入れると売れ残りの在庫は抱えにくくなりますが、1回の発注にかかる送料を少ない個数で割ることになるため、1個あたりの原価は上がります。売れる速さと手元の資金に合わせて、発注する数量を決めていく仕入れ方です。
ロット・発注単位・入数の違いは何ですか。
ロットは、まとめて取引される数量のひとかたまりです。発注単位は、注文するときに数量を増やす刻みで、1個単位・1セット単位・1ケース単位のように商品ごとに決まっています。入数は、1セットや1ケースの中に商品が何個入っているかです。「発注単位が1ケース、入数が12個」なら、注文できる最少数量は12個で、24個、36個と増えていきます。
最低注文金額を満たせない場合はどうなりますか。
仕入れ先の条件によって扱いが変わります。最低注文金額を下回る注文を受け付けない仕入れ先もあれば、通常より高い送料や手数料を加えて受け付ける仕入れ先もあります。条件は仕入れ先の取引条件や商品ページに書かれているため、発注する前に、その仕入れ先が数量で条件を設けているのか、金額で設けているのか、どの単位(仕入れ先ごと・発送のまとまりごと)で判定されるのかを確認してください。orosy のバイヤーポータルでは、商品の販売単位と配送グループの最低注文金額(設定されている場合)を下回る注文はできません。
送料負けとは何ですか。どう避ければよいですか。
送料負けとは、1回の発注にかかる送料を個数で割った金額が大きく、商品を売っても送料の分で利益が残らなくなる状態です。避けるには、送料を1個あたりに換算して仕入れ値に乗せ、その金額を原価として販売価格を決めます。1回の発注個数を増やすほど1個あたりの送料は下がるため、売れる見込みのある範囲で発注をまとめることも対策になります。
送料無料ラインに合わせてまとめ買いをしたほうがよいですか。
一律には決まりません。無料ラインまで足した分の商品が、売れる見込みの範囲に収まるなら、送料の分だけ原価が下がるので合わせる価値があります。売れる見込みを超えて足すと、送料で浮いた金額より、売れ残りや保管、先に出ていく仕入れ代金の負担のほうが大きくなります。無料ラインまでの不足額と、そのぶんの商品が売り切れるまでの期間を並べて判断してください。
個人事業主でも小ロットで仕入れられますか。
法人か個人事業主かよりも、実店舗や自社 EC などの販売先があり、仕入れ先の取引条件を満たせるかどうかで決まります。orosy のバイヤーポータルは、商品を仕入れて販売する事業者(法人・個人事業主)が対象で、登録には事業者サイトの URL が必要です。各商品の販売単位と配送グループの最低注文金額(設定されている場合)を満たせば、少量から注文できます。
orosy のバイヤーポータルでは 1 個から注文できますか。
商品によります。商品ごとに販売単位が決まっており、その販売単位と、配送グループの最低注文金額(設定されている場合)を満たせば少量から注文できます。販売単位は商品ごとに異なるため、注文の最少数量も商品によって異なります。登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。審査制で、審査を待つ間もテストモードで検索から発注までの流れを試せます。
小ロット仕入れで利益を残す鍵は、送料を仕入れ値とは別の費用として扱わず、1個あたりに換算して原価に乗せることです。そのうえで、発注単位・最低注文金額・送料無料ラインの条件を確認し、売れる速さと手元の資金に釣り合う数量から始めて、記録をもとに発注量と頻度を調整していってください。
仕入れ全体の進め方は小売店・EC の仕入れ完全ガイド、送料を含めた原価から販売価格を決める手順は販売価格の決め方をあわせてご覧ください。
