卸販売・サプライヤー向け

卸販売の始め方 — メーカー・ブランドが小売店に卸すまでの手順を全解説

読了目安 約6分
白を基調とした明るい作業部屋で、商品を箱詰めしスマートフォンで記録しながら販売準備を進める2人の事業者

写真: Thirdman(Pexels)

卸販売を始めるには、卸価格(掛け率)の設定、取引条件(最低注文数量・送料)の決定、販路の選定、受注・請求・入金の仕組みづくりの4つを順に整えます。この記事では、メーカー・ブランドが自社商品を小売店に卸すまでの手順を、実務の流れに沿って解説します。

自社で作った商品や仕入れた商品を、小売店にまとめて販売するのが卸販売です。消費者に1点ずつ売る小売販売とは、価格の考え方も、取引の進め方も異なります。ここでは、これから卸を始めるメーカー・ブランド・生産者の方に向けて、準備から運用開始までの手順を整理します。

卸販売とは — 小売販売との違いを整理する

卸販売は、小売店や事業者に対して商品をまとめて販売する取引です。販売の相手が事業者である点が、消費者に直接売る小売販売との最大の違いです。

相手が事業者になることで、価格は「卸価格」で提示し、注文は「最低注文数量」を単位でまとめ、支払いは「掛け売り(後払い)」になることが一般的です。これらは長く続いてきた商習慣であり、卸を始めるうえで最初に理解しておく前提になります。

小売販売の感覚のまま卸を始めると、価格設定や入金のタイミングで想定と合わない部分が出てきます。まずは卸取引の基本的な流れを押さえることが、失敗を避ける近道です。

卸販売を始める前に決めておく4つのこと

卸を始める前に、次の4点を先に決めておきます。この4点が固まれば、あとは受注と入金の仕組みを整えるだけで運用を始められます。

決めること 内容 ポイント
卸価格・掛け率 小売店に提示する価格 利益が残るかを試算してから決める
最低注文数量(ロット) 1回の注文で受ける最小の数量 生産・出荷の手間に見合う量にする
送料の条件 送料の負担と、無料になる基準 一定金額以上で送料無料などを設定する
販路 どこで小売店に見てもらうか 展示会・営業・オンライン卸から選ぶ

この4点は、あとから変えることもできますが、最初にひととおり決めておくと、取引先とのやり取りが明確になります。とくに卸価格は、一度提示すると変更しにくいため、慎重に設計します。

卸価格と掛け率の決め方

卸価格は、小売価格に「掛け率」をかけて求めるのが基本です。掛け率とは、小売価格に対する卸価格の割合を指します。たとえば掛け率6掛け(60%)なら、小売価格1,000円の商品を卸価格600円で販売します。

業界慣行では、卸価格は小売価格の50〜70%程度が一つの目安とされています。ただし、原価率や商品ジャンルによって適正な水準は変わり、化粧品やアクセサリーのように50%を下回る商材もあります。下の早見表は、小売価格1,000円の商品を例にした掛け率ごとの卸価格です。

掛け率 小売価格に対する割合 卸価格(小売価格1,000円の場合)
5掛け 50% 500円
6掛け 60% 600円
6.5掛け 65% 650円
7掛け 70% 700円

卸価格を決めるときは、その価格から原価・送料・販売にかかる費用を差し引いても利益が残るかを試算します。安く設定しすぎると数を売っても利益が出ず、高く設定しすぎると小売店が仕入れにくくなります。自社の商品が置かれる売り場と、そこでの小売価格を想定しながら、無理のない水準を探ります。

掛け率と卸価格の決め方は、卸販売の収益を左右する重要な部分です。

販路の選び方 — 展示会・営業・オンライン卸

卸価格と取引条件が決まったら、次は「どこで小売店に商品を見てもらうか」を決めます。主な販路には、展示会・商談会への出展、自社での営業、オンラインの卸取引サービスの3つがあります。

販路 特徴 向いているケース
展示会・商談会 対面で多くのバイヤーに会える 実物を見せて訴求したい商品
自社営業・紹介 取引先と深い関係を築ける 特定の販路に絞って広げたい場合
オンライン卸サービス 常時、全国のバイヤーに掲載できる 少ない手間で販路を広げたい場合

どれか1つに絞る必要はなく、組み合わせて使うのが現実的です。展示会で出会った取引先を継続受注につなげ、そのあいだもオンラインで新しい小売店に見てもらう、といった併用が効果的です。

オンラインの卸取引サービスは、常時、全国の小売店に商品を掲載できる販路です。たとえば orosy は、登録・掲載が0円で、費用は商品が売れたときの手数料だけという仕組みで、初期の固定費をかけずに販路を広げられます。複数の販路の使い分けは、複数の仕入れ先から仕入れるバイヤーの動きを解説した記事も参考になります。

受注から入金までの実務を設計する

販路が決まったら、注文を受けてから代金が入金されるまでの流れを設計します。卸販売では、この一連の実務を滞りなく回せるかが、継続的な取引の土台になります。

卸取引の一般的な流れは、次のチェックリストのとおりです。

段階 やること
1. 受注 小売店からの注文を受け付け、内容を確認する
2. 受注確定 在庫を確認し、受けられる数量で確定する
3. 出荷 商品を梱包し、追跡番号をつけて発送する
4. 請求 取引先へ請求書を発行する
5. 入金確認 支払期日どおりに入金されたかを確認する

このうち、請求と入金の管理は、取引先が増えるほど手間が大きくなります。掛け売り(後払い)が基本のため、支払期日の管理と、万一の未回収への備えが欠かせません。

代金回収の実務を自社で抱えたくない場合は、請求・与信・回収を代わりに担う仕組みを使う方法があります。たとえば orosy が 2026 年秋の開始を想定している新しい卸売サービスは、バイヤーの支払いが遅れても御社への支払期日は変わらず、請求・決済・与信・代金回収まで引き受ける設計です(現在は先行登録を無料で受付中です)。掛け売りの未回収リスクへの備えは、掛け売りの未回収リスクを抑えるにはで詳しく解説しています。

よくある質問

卸販売を始めるのに、最初に決めることは何ですか。

卸価格(掛け率)、最低注文数量、送料の条件、どの販路で売るかの4点を先に決めます。この4点が決まれば、あとは受注と入金の仕組みを整えるだけで始められます。

卸価格は小売価格のどれくらいが目安ですか。

業界慣行では、卸価格は小売価格の50〜70%程度(掛け率で5〜7掛け)が一つの目安とされています。原価率や商品ジャンルによって幅があるため、利益が残るかを試算して決めます。

在庫を持たずに卸販売を始めることはできますか。

受注を受けてから出荷する取引形態を選べば、事前に大量の在庫を抱えずに始められます。取引形態ごとの在庫リスクの違いを理解してから選ぶことが大切です。

小さなブランドでも卸販売は始められますか。

始められます。最低注文数量や送料の条件を自社の生産量に合わせて設定すれば、小規模でも無理なく卸取引を運用できます。

掛け売り(後払い)の未回収が不安です。

取引先ごとの与信確認や、代金回収を代わりに担う仕組みを使うことで、未回収の不安を抑えられます。詳しくは掛け売りの未回収リスクを抑えるにはの記事で解説しています。


卸販売は、卸価格の設計・取引条件の決定・販路の選定・受注から入金までの実務という4つを順に整えれば、着実に始められます。関連する実務は、掛け売りの未回収リスクを抑えるには複数の仕入れ先から仕入れるバイヤーの動き小売店の仕入れの流れの各記事でも解説しています。オンラインで販路を広げる方法は、サプライヤー向けページもあわせてご覧ください。

卸の販路を増やす。手間は増やさない

orosy なら、登録にも掲載にも費用はかかりません。手数料は商品が売れたときだけ。審査を通過したバイヤーだけが御社の商品を仕入れられます。先行登録を受付中です。

サプライヤー向けページを見る