卸の仕入れで発注する方法は、ブラウザの画面から人が操作する、AI アシスタントに頼む、自社のシステムから API でつなぐ、の3つに分かれます。3つは別のサービスではなく、同じカタログ・同じカート・同じ事業者アカウントを共有する「入口」の違いです。店頭や倉庫でその場で数量を決めるなら画面、条件が毎回変わる日常の探索なら AI、自社 EC や在庫管理とつなぐなら API が向きます。orosy のバイヤーポータルでは、2026年9月29日時点で、本番の注文がこの3つの使い方すべてで入っています。2026年9月28日時点で、登録は476社以上、審査を通過した事業者は307社以上、API キーを発行した事業者は48社以上です。どの入口でも先に事業者としての登録と審査が必要で、API キーはログイン後に利用者自身で発行します。
仕入れの話は、ふつう「どこから買うか」で語られます。しかし仕入れ先が決まったあとに手間として残るのは「どうやって発注するか」のほうです。毎日ブラウザで同じ操作を繰り返すのか、自社の EC や在庫管理とつなぐのかで、同じ仕入れ先でもかかる時間が変わります。
分かりにくいのは、「API 連携」と聞くと大がかりな導入プロジェクトを思い浮かべてしまう点です。実際には、画面から手で発注することと API でつなぐことは対立する選択肢ではなく、同じ取引の入口が3つあるだけです。途中で切り替えることも、併用することもできます。
この記事では、仕入れを自社の仕組みに組み込みたい事業者に向けて、3つの入口で何ができるか、どの体制にどれが向くか、共有されるものは何か、そして登録から最初の注文までの手順を順に整理します。
発注の入口は「画面」「AI」「API」の3つに分かれる
同じカタログに対して、操作する主体が違う3通りのつなぎ方がある、と考えると整理できます。画面は人が、AI はこちらの言葉を受けて、API は自社のプログラムが操作します。
| 入口 | 何ができるか | 向いている場面 | 始めるのに必要なもの |
|---|---|---|---|
| 画面(ブラウザ) | 商品を探す、カートに入れる、発注する、請求書を確認するまでを人が操作する | 店頭や倉庫で実物を見ながら、その場で数量を決めて発注するとき | 審査を通過した事業者アカウントとブラウザ |
| AI アシスタント | 条件を言葉で伝えて商品を探し、カートを組み、注文内容を確認する。確定の前に必ず総額が示されて止まる | 探す条件が毎回変わる日常の仕入れ、候補出しから相談したいとき | MCP に対応した AI クライアントと、ログイン後に発行した API キー |
| API(コード連携) | 自社のプログラムから、商品データの取得・カートの操作・発注までを行う | 自社 EC や在庫管理と仕入れをつなぎ、繰り返しの作業を自社側の仕組みに載せるとき | ログイン後に発行した API キーと、呼び出しを書ける体制 |
AI アシスタントの接続には補足が要ります。つながるのは、API キーをリクエストのヘッダーに設定できる MCP 対応クライアント(Claude Code など)です。MCP は、AI クライアントと外部のサービスをつなぐ共通の規格を指します。ブラウザ版の AI サービスにあるコネクタは別方式の認証を前提としているため、現状はそのままでは接続できません。手元のクライアントがキーをヘッダーに設定できるかが最初の分かれ目です。
API を使う体制は社内にエンジニアがいる場合に限りません。外部への委託や、コードを書ける AI クライアントに書かせる進め方も選択肢になります。
どの入口を選ぶかは、業種と社内の体制で決まる
「どれがいちばん良いか」には答えがありません。決まるのは、商品を選ぶ場所がどこかと、社内にどんな体制があるかの2つです。
| 事業の形 | 主に使う入口 | そう考える理由 |
|---|---|---|
| 実店舗が中心の小売店 | 画面 | 棚の空きを見てから数量を決める。発注のきっかけが売り場にあるため、人がその場で操作するほうが早い |
| 自社 EC を運営し、商品を入れ替えながら売る | AI + 画面 | 探す条件が毎回変わるため、言葉で条件を伝えて候補を絞る使い方が合う |
| 自社 EC の商品データや在庫管理と仕入れをつなぎたい | API | 商品データの取り込みと発注を自社側の処理に組み込める。繰り返し発生する作業ほど効果が出る |
| 複数の担当者で仕入れを分担している | 画面 + API | 担当者は画面で発注し、データの取り込みなど定型の部分だけを API に寄せる分け方ができる |
| 開発の体制がまだない | 画面 → AI | まず画面で取引を始め、慣れてから AI クライアントの接続を試す。API は後から足せる |
順番も決めておくと迷いません。まず画面で最初の注文を通し、取引の条件(販売単位、最低注文金額、送料)を確かめてから AI や API に広げます。連携を先に作ると、発注が通らなかったときに原因が仕入れ条件なのか実装なのか切り分けられません。
仕入れ先そのものをまだ比べている段階なら、仕入れサイトの比較で候補の並べ方を、卸売とはで取引の基本的な用語を整理しています。
3つの入口が同じものを共有すると何が変わるか
入口が3つあること自体より、3つが何を共有しているかのほうが実務には効きます。orosy のバイヤーポータルでは次の4つが共通です。
| 共有されるもの | 実務でどう効くか |
|---|---|
| 同じカタログ | 画面で見つけた商品と、AI や API で取得できる商品が同じ。入口によって品ぞろえが変わらない |
| 同じカート | AI で組んだカートを画面で確認して確定する、といった途中の切り替えができる |
| 同じ事業者アカウント | 入口を増やしても、登録や事業者確認をやり直す必要がない。どの入口から入れても注文は1つのカートにまとまる |
共有されていない仕組みを並べた場合と比べると、この意味がはっきりします。ログインと注文が仕入れ先ごとに分かれていると、会社情報を登録し直し、請求書を突き合わせる作業が仕入れ先の数だけ増えます。この構造は仕入れ先の一元管理で扱っています。
orosy のバイヤーポータルの3つの入口
orosy のバイヤーポータルは、複数の仕入れ先・約20万点の商品を、1つの画面・1つのカートで検索から発注・請求書まで扱えるサービスです。登録・利用は無料で、かかるのは商品代金と送料だけです。初期費用・月額はなく、クレジットカードの登録も要りません。
審査制です。 登録には事業者サイトの URL の入力が必要で、審査に使われます。登録メールのドメインが事業者サイトと一致している場合や、サイト内(特定商取引法に基づく表記、会社概要など)に登録メールが掲載されている場合は自動で確認が完了し、多くの場合10分ほどで承認されます。それ以外は担当者がサイトや SNS を確認し、通常12時間以内に結果をメールで通知します。
審査を待つ間はテストモードで試せます。 検索から発注までを一通り操作でき、取引先に通知されず、発送も課金も発生しません。接続を組むときは、この状態で流れを確認してから本番に進められます。承認後に、実データと卸価格つきのカタログが開きます。
API キーは、承認後にログイン後の画面から利用者自身で発行します。 発行したキーは、自社のプログラムから呼び出す場合にも、MCP に対応した AI クライアントから接続する場合にも同じように使います。AI から接続するときの設定手順は、ログイン後の「AI で使う」ガイドにあります。
AI に任せられる範囲には線が引かれています。 AI は確定の前に必ず総額を提示して止まり、本人の確認なしに注文が成立することはありません。最後の確認と発注は人が行います。
発注の条件は、どの入口から注文しても同じです。商品ごとに販売単位が決まっており、同じ発送元でまとまる配送の単位(orosy のバイヤーポータルではこれを配送グループと呼びます)ごとに最低注文金額が設定されている場合があります。これらを満たせば少量から注文でき、欠品時は実際に届いた分にだけ請求が発生します。発注単位と送料の考え方は小ロット仕入れと送料で扱っています。
在庫を持たずに自社 EC に商品を並べる進め方もできます。商品データを先に取得して掲載し、注文が入ってから発注する流れです。ただし発注は卸売の条件のままで、販売単位や配送グループの最低注文金額を下回る発注はできません。お届け先は店舗・倉庫・事務所など事業者の拠点で、購入者への直接発送には対応していません。 届いた商品はご自身で梱包して発送します。なお、商品画像や説明文の掲載可否は商品ごとに条件が異なり、一律の許諾は出していません。
orosy のバイヤーポータルが実際にどう使われているか
2026年9月28日時点で、登録は476社以上、審査を通過した事業者は307社以上、API キーを発行した事業者は48社以上です。そして本番の注文が、画面・AI アシスタント・API 直接の3つの使い方すべてで入っています。
AI クライアントから接続して発注に至った実例は、AI に仕入れを頼むで扱っています。開発案件として数か月構えなくても、承認が下りたその週のうちに接続まで到達している事業者がいます。
なお、カタログの検索は日本語で行います。海外の事業者も日本語のカタログに対して検索しており、AI クライアントを使う場合は、この翻訳の部分も含めて手元の AI に任せる形になります。
登録から最初の注文までの手順
最初の注文までは約15分が目安です。連携はそのあとで構いません。
| 段階 | やること | 必要なもの・かかる時間 |
|---|---|---|
| 1. 登録 | 会社名、事業者サイトの URL、事業内容を入力する | 事業者サイトの URL(必須)。クレジットカードは不要 |
| 2. 審査を待つ | その間にテストモードで検索から発注までを試す | 自動で確認できる場合は多くの場合10分ほど、それ以外は通常12時間以内 |
| 3. 画面で最初の注文 | 販売単位・最低注文金額・送料の条件を実際に確かめる | 承認後、実データと卸価格つきのカタログが開く |
| 4. API キーを発行 | ログイン後の画面から自分で発行する | 開発の知識は不要 |
| 5. AI クライアントを接続 | MCP 対応クライアントにキーを設定し、検索から注文確認まで試す | ログイン後の「AI で使う」ガイドの手順 |
| 6. 自社システムと連携 | 商品データの取得や発注を自社の処理に組み込む | 呼び出しを書ける体制(社内・外部委託・AI クライアント経由) |
この順番であれば、どの段階で止めても仕入れそのものは動き続け、連携を作り込んでから取引条件に気づく手戻りも避けられます。
よくある質問
仕入れの発注を自社のシステムから行うには何が必要ですか。
仕入れ先が API を公開していること、その API を使うためのキーを自社で発行できること、そして自社側で呼び出しを書ける体制(社内のエンジニア、外部委託、コードを書ける AI クライアントのいずれか)の3つです。orosy のバイヤーポータルの場合、事業者としての登録と審査を通過したあと、ログイン後の画面から自分で API キーを発行し、そのキーで商品データの取得・カートの操作・発注まで扱えます。登録には事業者サイトの URL が必要です。
仕入れ先の API と自社の受発注システムは、どちらを先に整えるべきですか。
先に決めるのは順番ではなく、どの作業を自社側の仕組みに載せたいかです。商品データの取り込みと掲載を自動にしたいなら仕入れ先の API から、社内の承認や在庫の記録を整えたいなら自社側からになります。どちらから始める場合でも、画面から手で発注できる状態を先に作っておくと、連携が途中で止まったときに仕入れそのものが止まりません。
3つの入口のうち、AI アシスタントは何を担いますか。
条件に合う商品を探して候補を並べ、カートを組み、金額を含む注文内容を見える形にするところまでです。確定の操作は人が行います。画面との違いは、仕入れ先ごとに分かれた条件の読み合わせを言葉で頼める点、API との違いは、自社側に実装を持たなくてよい点です。準備するものと接続後の実際の流れは、AI に仕入れを頼むで扱っています。
API キーはどうやって発行しますか。エンジニアがいないと使えませんか。
orosy のバイヤーポータルでは、審査を通過したあと、ログイン後の画面から利用者自身で API キーを発行します。発行そのものに開発の知識は要りません。発行したキーは、自社のプログラムから呼び出す場合にも、MCP に対応した AI クライアントから接続する場合にも同じように使います。自社でコードを書かない場合でも、AI クライアント経由の使い方であれば API キーを活かせます。
画面・AI・API を併用すると、注文やアカウントはばらばらになりませんか。
3つは別のサービスではなく、同じカタログ・同じカート・同じ事業者アカウントを共有する入口の違いです。orosy のバイヤーポータルの場合、AI で組んだカートを画面で確認して確定する、といった使い分けができます。入口を増やしても、登録や審査をやり直す必要はありません。
開発中の試行で、本当に商品が発送されてしまうことはありませんか。
orosy のバイヤーポータルには、審査を待つ間に検索から発注までを試せるテストモードがあります。テストモードでの操作は取引先に通知されず、発送も課金もされません。連携を組むときは、この状態で一通りの流れを通してから本番の注文に進めます。
海外の事業者でも同じ3つの入口を使えますか。
使えます。orosy のバイヤーポータルは海外のバイヤーの国へ直接発送しており、注文時に配送先の国を選びます。カタログの検索は日本語で行います。海外へ送れる商品の範囲は仕向け先の国ごとに異なり、配送国を設定すると送れる商品だけが表示されます。輸入時の関税と通関はバイヤー側の負担です。日本国内に受け取り拠点がある場合は、従来どおりそこで受け取ることもできます。
